小倉正男の経済コラム一覧

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【小倉正男の経済コラム】1ドル150~160円超 令和の「経済敗戦」

■4月雇用は予想を下回り、長期金利低下しNY株価は上昇 米国労働省が発表した4月雇用統計だが、景気の現状を反映するといわれる非農業部門雇用者数は17万5000人増加となり、予想雇用者数24万人を大きく下回る結果となった。前月は30万3000人増(改定値31万5000人増)の雇用者数だった。さすがに雇用者増はやや鈍化となった格好である。 失業率は3・9%(予想3・8%)と前月の3・8%から悪化している。平均時給は0・2%(予想0・3%)で前月の0・3%を下回った。労働需給の過熱..

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【小倉正男の経済コラム】中東危機“報復の連鎖”の愚、「やめろ」の警告

■“報復の連鎖”の罠を回避できるか 4月1日イスラエルの戦闘機がシリア・ダマスカスのイラン領事部を空爆した。イラン革命防衛隊は、この爆撃で将官7名が死亡したと発表している。領事部はイラン大使館の隣にあり、ピンポイントで攻撃されている。 イランは14日にミサイル、ドローンを大量動員してイスラエルを攻撃した。イラン領事部爆撃に対する報復である。ただし、イスラエルに本気で深刻な打撃を与える意図はなかったとみられる。そのうえイラン軍統合参謀本部議長は、「この攻撃により作戦は終了したと..

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【小倉正男の経済コラム】JBS 日本一の社員食堂をつくったクラウド企業

 企業はなぜ上場するのか。案外、経営者にとって需要な問である。以前は「社会的信用」を挙げる経営者が多かった。「社会的信用」をテコに企業をさらに成長させる。上場はあくまで通過点ということになる。 ある創業経営者は上場時に「(正直にいうと)盆栽のため」と語っている。ちなみにその経営者は、日本一の盆栽コレクター(当時)で盆栽美術館を創設した人物だった。盆栽のために上場を果たした。盆栽のために自社の事業を大きく拡大する。それはそれで経営者の思いであり、事業発展のエンジンとなっていれば..

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【小倉正男の経済コラム】新工場ラッシュ「半導体ブーム」の火付け役

■「日経半導体株指数」スタート 3月25日から「日経半導体株指数」の集計・公表がスタートする。東証に上場している半導体・半導体製造装置・電子部品など半導体部材の有力企業30銘柄の値動きを示す指数になる。 米国では「SOX指数」(フィラデルフィア半導体株指数)が使われている。米国上場の主要半導体関連企業30銘柄を集計した指数である。「日経半導体株指数」は「SOX指数」の日本版ということになる。 いまの日経平均株価を牽引しているのは半導体関連であり、指数=データが開示される意味は..

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【小倉正男の経済コラム】「東濃」の山城 岩村城「女城主」おつやの方

■「東濃」は岩村城など山城のメッカ 中津川市、恵那市は岐阜県の「東濃」という地域にあたる。名古屋から中央本線で行ける。岐阜県の多くの人も中津川、恵那に行くには名古屋で乗り換えて、この路線を使っている。アクセスは案外なことに利便性がある。 私が中津川、恵那に伺ったのは3度目だ。相当以前だが恵那山トンネル工事取材で、建設用トロッコで切羽の最先端まで行ったことがある。その次は“デフレに強い経済”ということで、2000年代前半に大変なブームだった「名古屋経済」の企業取材だ。そして今回..

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【小倉正男の経済コラム】「シン・バブル」 株価は最高値更新、バブル期のデジャブも

■日経平均は過去最高値を一気に更新 2月22日、日経平均株価は史上最高値を更新した。日経平均は取引時間中に3万9156円に上昇し、終値は3万9098円となった。過去の最高値は1989年12月29日の終値3万8915円――。34年前のあのバブル真っ最中の出来事である。 世のなか思いも寄らぬことが少なくないが、バブル期の最高値を一気に追い抜いている。きっかけは21日(日本時間22日早朝)の米国半導体大手エヌビディアの決算発表である。いまの日経平均は半導体関連企業がけん引している。..

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【小倉正男の経済コラム】バブル後最高値 マイナス金利解除後発言の度に

■マイナス金利解除後発言で円安、株高 日銀がマイナス金利解除を発言するごとに円安、株高となっている。マイナス金利解除は、一応利上げだから円高、株安になるのが自然だが、市場はその逆に動いている。 日銀・植田和男総裁は、「(マイナス金利解除後の金融政策について)緩和的な金融環境が当面続く可能性が高い」と発言している(2月9日・衆院予算委員会)。その前日の8日には内田真一副総裁が、「(マイナス金利解除後に)どんどん利上げしていくようなパス(経路)は考えにくく、緩和的な金融環境を維持..

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【小倉正男の経済コラム】日銀「出口戦略」マイナス金利解除=正常化を塞ぐ壁

■植田総裁のマイナス金利解除(利上げ)への意向は強い 1月22日~23日の日銀・金融政策決定会合は、マイナス金利解除(利上げ)に向かうには重要な日程になる。政策金利をマイナス0・1%からゼロ(0%)にするにしても、利上げには周到な地ならしを行うというのが通例である。 仮に4月にマイナス金利解除を行うとすれば、1月金融政策決定会合を起点に何らかの地ならしの号砲を撃ち鳴らす可能性が高まる。利上げのスケジュールとしては、地ならしの時期に入ることになる。 植田和男総裁は、“チャレンジ..

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【小倉正男の経済コラム】マイナス金利解除 FRBの利下げを見守るしかない・・・

■金融政策決定会合は従来政策を維持 日銀の金融政策決定会合(12月18~19日)は、従来の金融政策を何も変更しないという確認で終了した。 事前に植田和男総裁の「チャレンジング発言」があり、「マイナス金利」など政策に変化が出る可能性が取り沙汰されていた。この発言で為替、株式、国債などの市場は乱高下、市場は何らかの変化が起こると“動揺”をみせていた。 植田総裁は国会(参院財政金融委員会)で金融政策の所見についてこう発言している。 「チャレンジングな状況が続いておりますが、年末から..

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【小倉正男の経済コラム】日銀 マイナス金利解除に向かうのか?

■11月雇用は堅調、利下げ時期はやや後退 米国の農業分野以外の雇用者は、11月19万9000人の増加となった。事前予想は18万人強であり、それを上回ったことになる。ただし、想定圏内の上振れという見方が一般的である。 失業率は3・7%(前月3・9%)と小幅改善になっている。平均時給は前月比0・4%(前月0・2%、前年同月比4・0%)、こちらも前月比で小幅だが上昇している。労働需給の逼迫、インフレの一因となっている人手不足、賃金アップはピーク時に比べると緩和されている。だが、雇用..